沖縄県工芸振興センター

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宮古上布

▐ 沿革


 宮古上布の起こりは16世紀、宮古島洲鎌の部落長の妻。稲石が尚永王の恩に報いるために工夫を凝らして織りあげた細綾錆布(紺上布)を献上したのが始まりといわれています。1610年に琉球王府の御用布に指定され、1637年に人頭税が敷かれてからは役人の厳しい監督のもとで織られるようになりました。その制度は明治36年の地租改定まで続きます。
 明治時代末に締機が導入され、今日の上布の製法が確立して生産量が増大しました。最盛期には日本織物界の粋として数々の栄誉を受けています。

▐ 技術・技法

 宮古上布は手績みの苧麻糸で織りだす麻織物です。糸は苧麻の皮を剥ぎ、繊維をつなぎ合わせて一本にして、精練漂白をします。絣の製法は機締め法と手括り法があります。染色には琉球藍を用い、宮古上布独特の紺色を染め出すのに数十回も藍がめに浸けて染色します。製織は、経緯の絣を一本一本丁寧に十字に組み合わせながら模様を織り出し、又、毛羽だちを防ぐために薄糊を付けて織ります。洗濯仕上げの後、アカギの台の上で灼く3時間ほど布目をそろえながら木槌で打ちます。すると均一に目がつまってロウを引いたような宮古上布が誕生します。
 宮古上布は手績みの苧麻糸を用いて、手括・締機により緋模様(十字緋)を作りだし、琉球藍染めによる紺地色の麻織物です。日本においても、東の越後上布、西の宮古上布と言われるほど有名な織物である。

(1)苧麻
 宮古上布の原料苧麻は、イラクサ科の多年生の低木で、 別名「カラムシ」「マヲ」などと呼ばれる。苧麻の栽培は、春先(2、3月)に風当たりの少ない場所に株植えを行います。越年をした株はこの時期に刈り取って、新しく発芽させます。施肥は春先に年1回堆肥を施します。茎折れや分枝が生じると、糸にしたときに、「もろい」、「糸切れ」、「毛羽立ち」などの問題が生じます。収穫は4∼10月にかけて茎高が1.5m位(発芽後45日前後)まで成長する時期に行い、気象条件では年間4∼5回収穫ができます。その中で初夏(4、5月頃)に収穫するものは「ウリズンブ ー」と呼ばれ、良質の繊維が採れます。

(2)採繊方法
 採繊は、苧麻を根元から刈り取り、葉を全部落とし、茎を木質部と表皮部に分け、表皮部から繊維を取ります。表皮部を貝殻等でしごいて繊維部分を分離して水洗し、陰干しして乾燥させたものを「生苧」といいます。

(3)糸紡ぎ
 生苧を指や爪を使って細かく裂いて、繊維の根元部と先端部を撚り合わせて、繋いでいきます(糸の結び目がない)。経糸用は細く紡ぎ、2本撚りにして、緯糸用は経糸より太めに1本撚りで紡ぎます。糸の単位は、長さ約7.5mの80本でー算とし、10算から12算をー単位として販売されます。1反に要する糸量は、概算で経紡糸が6算、経地糸20算、 緯紡糸14算、緯地糸10算の計50算となります。

(4)宮古上布の図案
 図案は、3mm方眼が使われ、十字緋(長さ2mm程度) を組み合わせて文様を描いています。緋柄は十文字、亀甲、 麻の葉、唐草紋様、ビン柄、花柄など多種多様です。

(5)締括り
 統括りは、手括り法と機締め法があり、機締め法は大正年間に導入され、緋柄の多様化が進みました。機締め法は、整経した糸を柄にあわせて16∼18本づつま とめて糊つけします。経緋は図案の繰り返し幅(戯幅)で墨つけ、緯緋は上布の幅で墨つけして木綿糸で括ります。締機には、締め糸(木綿40番手)が600本張られ、緋図柄 を読みながら十字緋を一つに5本の割で締め糸で紡糸を通 して織締めると鐘状になります。締め糸は滑りをよくするため油をぬリながら締めます。

(6)染色
 染色前に糸の前処理として、精練漂白します。経糸、緯糸 を別々に分け、紡糸用と地糸用に分けて行います。地糸は湯通しで汚れを落として水洗をし、紡糸用は漂白剤で漂白します。染色は、緋締めによって廷状にした紡糸と地糸を一反分をまとめて藍染めをします。染色後、4時間ほど天日に干して、その工程を一日2回行い、15∼16回染色して上布の独特の紺色を出します。
 藍建ては琉球藍を主に、参藍の玉(玉藍)を加えて行います。

(7)製織
 染色後、経糸、緯糸別々に製織にそなえて下播えをします。
 経糸は、廷状の紡糸を解き、図柄に合わせて糸割りを行い、地糸一反分をまとめて仮鮫通しを行った後、糸が絡まないように一定の張力で巻き棒に巻き取ります。一反分を巻き取ったら仮歳をはずし、一本一本図案に合わせて綜緋通しをしますが、筬一目に二本づつを通します。筬通し後、機にかけて一定の張力でセットします。
 緯糸は染色後の廷を解き緋分けを行います。地糸は縄状 のままで管巻きをします。製織時には経糸の毛羽立ちを防ぐため、糊をぬり、乾燥後滑りをよくするため油をぬる。これは、毛羽立ち・糸切れを防ぐためです。

(8)洗濯加工
 織り上がった布は熱湯で洗濯をします。まず松葉やヤブニッツケイの葉の煮汁に白布で包んだ上布を入れ、30分間煮沸処理し、十分に水洗します。砧打ちのため、上布の両面に澱粉糊を付け、経緯に十分に引張り伸ばした後、たたんで均一に打ちます。一反を仕上げるのに3∼4時間(回数で2万回程度)を要します。第一次検査に合格後、さらに薄く糊つけをして、表面に艶がでるまで砧打ちを行います。その後、最終検査を行って合格した製品は検査表を貼付して出荷されます。

▐ 製品の特徴

 宮古上布は手紡ぎの糸を原料とした藍染めの紺上布です。絣模様は細やかな十字絣で絵柄を構成します。また、柄が細かいため一反を織り上げるのに2ヶ月もかかります。古くから越後、能登及び近江上布とともに四大上布の一つに上げられ、日本最高の高級夏物着尺地として知られています。

▐ 産地の現状

主な製造地宮古島市
主な製品名着尺
生産者組合宮古織物事業協同組合
所 在 地〒906-0012 宮古島市平良字西里3
TEL:09807-2-8022