沖縄県工芸振興センター

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八重山上布

▐ 沿革


 八重山上布の正確な起源については不明です。現在の八重山上布と思われる赤縞、紺縞上布の名前がはっきり出てくるのは、人頭税が実施されてからです。人頭税は、島民にとって堪え難いものだったと思われます。しかし、その結果、精巧な織物が作られるようになり、今日まで受け継がれています。明治時代には産地問屋ができて反物が販売されるようになりました。また、その頃に高機が導入されて、生産量が増えました。

▐ 技術・技法

 八重山上布は苧麻糸で織りだす麻織物です。紅露の芋をおろした濃縮エキスを用いた捺染の技法で絣糸を染める方法と、藍やその他植物染料を用いた浸染による地括りの手結い技法で絣を作る方法があります。製織は高機を改良した短機で織ります。織りあげた上布は色止めのため、海晒しを行います。

(1)原材料
 八重山上布は、苧麻(からむし)を原料とする織物です。苧麻の栽培・製法については、古くは王府の布達した「農務帳」に記されていますが、良質な原料を得るために詳細な指示がなされとされています。現在、苧麻の栽培や糸づくりは組合員の共同作業でも実施されていて力を入れています。苧麻が伸びると、丈1.5m前後で根本が緑から茶色に変わった頃を見計らい刈り取ります。苧はぎ、苧引き、績みの順に手績みの糸をつくります。

(2)絣技術

 —捺染上布の場合— 
 絣柄の構成を考えて意匠設計すると、綾頭(アヤツブル) の一面分(一完全)の図案を作成します。経糸は、絣柄にあわせ紡糸と地糸に分けて整経し、紡糸を張って綾頭に巻いていきます。緯糸は緯絣模様のみを図案にしたがって絵図台に糸を張り、その糸に墨付けをして種糸とします。
 綾頭(アヤツブル)=経絣巻き木枠

 —括染上布の場合— 
 図案により、経糸の準備をします。経糸は、絣糸、地糸、 縞糸をおのおの整経します。整経した紡糸について糊付け引き揃え後、マシン技法により同一括り長さの紡糸をまとめ、定規板で糸に印付けして地の部分を防染のために括ります。濃い地染めの時は、絣柄の部分を括ります。緯絣は、小総取り器で必要本数分の小禄を準備し、地の部分(又は絣部分)を括ります。

(3)染色

 —擦込捺染— 
 綾頭に巻かれた経紡糸に図案に沿いながら竹筆を使って 濃縮染液(紅露:クール)を摺り込みます。その際、綾すくい 棒で同じ種類の絣をうかし、他の紡糸を染料で汚さないように紙を下に敷き、必要量の染液を竹筆で容器から取り、注意して染め付けます。緯紡糸は先に準備した種糸と同じ 長さに整経台を用いて引き揃え、種糸にそって印付け捺染します。一種類別にピビルヤマに、手績みの苧麻を水で濡らして巻き、乾いてから竹筆で捺染します。
 ピビルヤマ=織幅にあわせた木枠

 —括染浸染— 
 糊を落としてから、紡糸は主に植物染料によって染色されます。琉球藍、紅露、福木、山桃、ザクロ、しいの木、車輪梅等が用いられます。

(4)製織
 管巻きした緯糸を、舟型の抒に入れて、手織によって八重山式高機で製織します。この高機は綾頭と地頭に分かれている他、重りで経糸の張りを調節したり、短機のために経絣のずれが少ないなどの特徴を持っています。

(5)天日乾燥
織り上がった布は1日8時間の約10日間天日乾燥させます。天日乾燥の善し悪しが八重山上布の品質を左右するといわれ、この工程で植物染料の色を充分に発色させます。

(6)海晒し
 織り上がった布は、色止めのために海中で5時間位晒します。その後に海水を充分に水洗・蒸してから干します。

(7)杵たたき
 織り上がった布を丸太に巻き、さらに木綿の布をその上から巻き付けて木製の台の上で杵で打ちます。

▐ 製品の特徴

 八重山上布は手紡ぎ糸を原料とした白上布です。紅露による焦げ茶の絣模様がくっきりと浮かぶ清楚な白地は、すがすがしい夏物着尺として好評を得ています。数多い沖縄織物の中でも刷込捺染技法を用いる織物は八重山上布のみとなっています。
 八重山上布は、宮古上布と同様に苧麻を主原料として、白地に焦げ茶色の絣を基調としますが、近年は経糸にラミー 糸を使用する事も多くなっています。従事者は30歳∼40歳代の人も多いが、後継者の確保は難しく、特に手紡従事者が不足しています。
 原材料の苧麻も不足がちであり、最近では地元で原材料を確保する方向での活動が活発になっています。各織物製造業者が自らの畑で栽培管理をしながら糸取りまで行い、品質のよい原材料確保に向けた生産農家としての実務技術も必要になってきています。

▐ 産地の現状

主な製造地石垣市、八重山郡竹富町
主な製品名着尺
生産者組合石垣市織物事業協同組合
所 在 地〒907-0004 石垣市登野城783-2
TEL:09808-2-5200